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「この庭に  -黒いミンクの話」

梨木香歩さん、絵本にも手を出してみました。

この庭に―黒いミンクの話

梨木 香歩 / 理論社


28/100

絵本、てことで子供向けのコーナーに置いてありましたが、
内容はまったく子供向けな気がしない。

あの「からくりからくさ」の続編「ミケルの庭」のその続編、てことでしたが
どうもミケルちゃんが幸せそうでないのが心配です。
あの庭、あの家、ほんとに寒そう。

好むと好まざるとにかかわらず、
親とか血縁とか環境とか全部ひっくるめた因縁のようなものからは
絶対に逃れることができないっていう大前提が、
「りかさん」や「からくりからくさ」をはじめ
梨木さんの作品にはあるような気がするのですが、
そうであるならなおさら、ミケルちゃんには幸せになってほしいんだよねー。
意志の強い、しっかりした子ではあるような気がするんだけど。
と読みながら思いました。
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by yurinippo | 2009-05-13 18:10 | book

「ぐるりのこと」

先日↓の記事に書いた「麦の海に沈む果実」は図書館で借りた本なのだけど
ピンクや黄緑や水色の色鉛筆で、あちこち傍線が引いてあったの。
前に借りていった誰かが、おそらく感想文書くために引いたのだろうけど。

今までも、鉛筆で薄く線が引いてあったり、ページに飲み物こぼした跡があったりと
(よくいえば)大勢の人が読んだ形跡のある本はたくさんあったけど
これだけ堂々と線を引いてある本は初めて。

しかも、その線の引いてある個所が、ポイントを外しているとは言わないまでも
最初と最後の章に集中していて、
しかも味わい深い文章というわけでもなく説明部分みたいなとこばかりだったので
「ああー、読み込まずにテキトーに引いたわね」みたいな感じが一目瞭然。

読むのに邪魔なことこの上ないし、
線引いた人のマナーと読書レベルの低さも露呈するし、
お願いだから図書館の本に線引くのやめてください。
どうしても線引きたかったら、自分で買ってください。


…と毒づいたところで。

次はとても状態の良い本でほっと一安心。

ぐるりのこと
梨木 香歩 / / 新潮社
ISBN : 4104299049


梨木香歩さんはエッセイもいいのよねー。
この本、名文だらけなので、思わずカラフルな色えんぴつで線引きたくなったよ。
(おいおい!)

「ぐるりのこと」=身の回りのこと、をいちいち深く考えることによって
世界とつながっていくその態度が素晴らしいと思う。
私などは、どうしても身の回りのことと、世界で起きていることが
地続きだという実感が持てないでいるから。頭では分かっていても。

私は梨木さんの物語世界の、たとえば「沼地のある森を抜けて」でイメージされるような
多様性とか豊穣とか混沌、みたいな言葉にめっぽう弱いのですが
一方、物事をシンプルに把握したい、「明晰性」へのあこがれも強いのです。

だから、それらをお話の中で同時に実現している梨木さんの本が
大好きなのだなーと、この本を読んで分かりました。
梨木さんも、この本の中でご自身の「多様性を生きる」生き方にもかかわらず
「明晰性」に強く惹かれるとかいておられますし。


あと、この本に登場したサイードの「オリエンタリズム」を
読もうと思って読んでなかったのを思い出しました…。読まなきゃ。

54/100
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by yurinippo | 2008-07-16 16:39 | book

「村田エフェンディ滞土録」

ずいぶん前にayakoさんにいただいて読んでいたのに
感想を書いていなかったことに今気づきました…。
もう一回読む。そして感想を書く。

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
梨木 香歩 / / 角川書店
ISBN : 4043853017

東西文明のぶつかり合う地、トルコ(土耳古)へ
100年と少し前、一人の日本人が考古学研究のために留学した。

同じ下宿に暮らす、民族も宗教も異なる青年たち、下宿の女主人、奴隷、鸚鵡…
文化は違えどもお互いを尊敬しあう関係は、以前に読んだ
「春になったら苺を摘みに」の中の
「理解は出来ないが受け入れる」と言う言葉をそのまま小説にしたようでもあります。

また、私のお気に入りの一冊「家守綺譚」と一部つながっていて、
しかも不思議なことを恐れすぎず信じすぎず、
あるがままに受け入れていく村田と綿貫は確かに共通点が多いです。

時代に翻弄され、戦争に駆り出される友人たち。
ラストでは涙があふれました。。。

100年前のトルコという、時間も場所も遠くはなれたところが舞台なのに
まさにこれは、現代に生きる私たちのお話です。


余談ですが、日本に帰ってきてからの村田の処遇、というか
大学内での立場…これそのまま今の大学のことみたい。
研究の内容よりも政治力のあるほうが出世し
若い頭脳が研究に十分に実力を発揮できずに雑用で疲れ果ててしまう。
大学と言う組織がいかに旧態依然なものか…
なんだか深く村田に同情しました。

109/100
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by yurinippo | 2007-12-17 13:57 | book

「春になったら苺を摘みに」

e0017161_1434593.jpg今日、ayakoさんから梨木香歩さんの本とディズニーランドのお土産と、無農薬のりんごの入った小包が届いて朝からニコニコ。
わーいわーい!ありがとう~~~。

早くこの「村田エフェンディ滞土録」を読みたくって、
図書館から借りてある、これまた梨木さんの本を急いで読みます。

春になったら莓を摘みに
梨木 香歩 / / 新潮社
ISBN : 4104299022


ああ、これもすごく良かった。

梨木さんがイギリス留学中に滞在していた下宿の女主人でもあり師でもある
ウエスト夫人とそれを取り巻く人々を描いたエッセイ集です。

ウエスト夫人の「理解はできないが受け容れる」姿勢。
そして、その博愛精神ゆえに、
少し(というか強烈に)困った下宿人をも引き受けてしまう夫人。
私も斯くありたい、と思うけれどもなかなか難しい…。(笑)

そして、梨木さん自身の、温かく洞察力あふれる視点が素晴らしい。

梨木さんの小説の登場人物は誰も大好きなのですが
こういうバックグラウンドがあってこその、あの人物描写だなぁと
深く納得しました。

ウエスト夫人は「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんのイメージでした。
日常生活をていねいに暮らすことが高い精神レベルと自然につながる感じ。
私の理想の生き方だなー。見えないくらい高く遠いところにあるんだけど。(笑)

98/100
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by yurinippo | 2007-10-20 14:54 | book

「りかさん」

「からくりからくさ」に続く、ようことおばあちゃんと、市松人形のりかさんのお話。
年代的には「りかさん」のが先だけど、どっちから読んでもいいと思う。

りかさん
梨木 香歩 / / 新潮社
ISBN : 410125334X

ひな祭りに、おばあちゃんにリカちゃん人形を頼んだら、
市松人形の「りかさん」をもらってしまってがっかり、の「ようこ」。
でもこのりかさん、ただのお人形じゃないのです!!
とっても気立てのいい子なんです。

人形がしゃべる、なんていうと、ちょっと怖いですか?
でも人形は、人の心を映す鏡。
人形を怖く感じるのは、そこに人の情念が染み付いているような気がするから。
本当に怖いのは、じつは人間のほうです。

2章目の「アビゲイルの巻」なんて読むと、人間の罪深さにぞっとして
それと同時に愛の深さに胸が詰まります。

こういう風にして、人形の「りかさん」を通して世の中を知っていくようになる「ようこ」が
長じて「からくりからくさ」の容子になるんですねーーー。納得!

そして、文庫版かきおろしの「ミケルの庭」は、「からくりからくさ」のその後。
まさに情念の絡まりあう唐草模様さながらの「からくりからくさ」人間模様だったのですが
火事に遭ってすっかりリセットされたのかと思いきや……そうでもない。

でも、今回は蔓が、回復への道しるべのような、未来への希望のような存在として
登場するのです。連綿と繋がる命の象徴。
どんなにどろどろしていても、必ず最後には救われる。
やっぱり梨木香歩さん、好きだわぁ。

95/100 ←ノルマ達成まであと5冊かぁ…。ことによると今月中に達成するかも?!
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by yurinippo | 2007-10-11 23:23 | book

「水辺にて」

ネタはたくさんあるのに、どうも更新サボりがちで反省。

水辺にて―on the water/off the water
梨木 香歩 / / 筑摩書房

「家守綺譚」といい、「沼地のある森を抜けて」といい、
どうも水辺に関する表現がやたらと素敵だと思ったら
梨木さん、カヤックをやる人だったのですね!

この本は、ご自身のカヤック体験と、留学中に訪れたスコットランドやアイルランドの
水辺の風景をつづったエッセイ集です。

カヤックに乗っても、水辺を散歩しても、美しいとか楽しいとかだけじゃなく、
けっこうひどい目にもあっている梨木さんですが
それでも水辺を体験して言語化することへの覚悟がゆるぎないので
まるで静かな湖面だけをカヤックで滑ってきたみたい。

読んでる途中、何度も「家守綺譚」の高堂のイメージが浮かんできました。

心を落ち着けて、ゆっくりと読みたい1冊。

88/100
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by yurinippo | 2007-09-18 16:29 | book

「丹生都比売」

タイトルの「丹生都比売(におつひめ)」は、
吉野の地に産する水銀と清らかな水を統べる姫神様。

丹生都比売
梨木 香歩 / / 原生林
ISBN : 4875990731

天武天皇や持統天皇の名前は知っていても、
草壁皇子は初めて知りました。

実は歴史モノ少し苦手でして。
あらかじめある程度の知識を必要とするでしょ。
わたし、大学受験も「世界史」「日本史」があまりに苦手で
センター試験が「倫理・政経」で受けられる大学を
必死で探して受けたくらいですから。(笑)
でもこれは、そんな私でも大丈夫。うん。

病弱な草壁皇子と、その母である持統天皇の関係は凄まじいものがあります。
母の愛、なのかなぁ…。(そんな愛はない気もするが)
説明が少なすぎて、どうもちゃんと理解出来ていない気はしますが、
草壁の自己犠牲なのか諦めなのか、影が薄くて哀れを誘うのです。

前に読んだ「エンジェル・エンジェル・エンジェル」みたいに、
ページの半分しか字が書いてない本なので、あっという間に読めます。
でも、とても不思議な読後感。

梨木香歩さんの本、もう少し探して読もうと思います。

63/100
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by yurinippo | 2007-07-04 13:07 | book

「裏庭」

ファンタジー好きじゃない人にも!
裏庭
梨木 香歩 / / 新潮社
ISBN : 4101253315

先日「恩田陸week」とか言っておきながらもう浮気です。(笑)
そこにあるとつい先に読んじゃう梨木香歩さん。

古い洋館の鏡が「裏庭(異世界)」の入り口になっているという、
すごくファンタジーらしい設定です。

主人公は、家族愛にあまり恵まれていない少女、照美。
この「照美」という名前にも秘密があるんだけどね。それは読んでのお楽しみ。
現実世界では自分の居場所が見つけられない照美ですが、
「裏庭」世界での冒険を通して、成長し、家族の絆も取り戻します。

この「裏庭」世界を読み解くのがいちばんの醍醐味です。
生と死の境目、内面世界の象徴、となんにでも取れるのですが
読んでいくと、自分の経験がかぶってきて、「あ、あれのことだ」とか涙が出ちゃう場面も。
もしかして私にも「裏庭」があったかなぁ。
なーんて、植物育てるのめちゃめちゃ下手なんだけどね。すぐ枯らす。(笑)

48/100
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by yurinippo | 2007-05-27 17:57 | book

「からくりからくさ」

梨木香歩さん熱がなかなか冷めないもので…

からくりからくさ
梨木 香歩 / / 新潮社
ISBN : 4104299014


「手仕事」を絆に一つ屋根の下で下宿する若い女性4人+市松人形1体。
前半の、古い家での少しレトロな暮らしぶりはかなり素敵ですが、
中盤からのどろどろした、ややメロドラマ風な因縁話も迫力があって楽しいです。

主要登場人物4人のうちの一人、紀久(きく)という子が印象的でした。
彼女は大人しいタイプなのですが芯が一本通っていてなんともいえない強さがある。
美大で織物を専門としていて、
作品のオリジナリティよりも伝統の技術、理屈よりも腕にしみこんだ技を重視し
それでも滲み出てきてしまう織り手の個性に魅力を見出す、ってところがいいの。

何でわたしが彼女に魅かれたのかというとね…

(と、ここで唐突に最近のパン焼きについて)
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by yurinippo | 2007-05-09 12:11 | book

「エンジェル エンジェル エンジェル」

梨木香歩さん続きます。

エンジェル・エンジェル・エンジェル
梨木 香歩 / / 新潮社

おばあちゃんとの交流とか、女系家族のお話が多いような気がする梨木さん。
(私の読んだ本がたまたまそうだっただけなのかも知れないけど)

孫娘の考子と、半分寝たきりのおばあちゃんの「さわちゃん」。
このさわちゃんの少女時代が時々現れて、考子とお話しする。
そのきっかけとなるエンゼルフィッシュと、少女の頃のおばあちゃんが
タイトルの「エンジェル…」の謎解きとなっています。

活字がやけに大きくて、しかも上のほうが大きく開いているのでボリュームにやや欠けます。

私も家で(最後は病院だったけど)祖母を看取っているので、
何だかこの切なさはものすごくよく分かる。現実そのものかもしれない。
現実感がありすぎる反面、小説なんだからもうちょっと夢があってもいいかなぁ、と。

37/100
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by yurinippo | 2007-05-04 14:50 | book