おうちしごと日報

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「なんくるない」

どうしようもなく沖縄に行きたくなります。
現実の沖縄が、こんな癒しの島ではないにしても。

なんくるない
よしもと ばなな / / 新潮社

表題作「なんくるない」は、とりとめのない独り言のような文体ながら
かえってそれが、主人公の悩みや苦しみとそこからの回復がリアルに感じられて
よしもとさん、あとがきで「あまり出来のよくない」とおっしゃってますけど
このような構成のゆるさは、わざと狙ったものでしょう。(たぶん)
不覚にも、ちょっと涙が出てしまいました。

そこに描かれる沖縄は、私たちの心の中にだけある「楽園」イメージそのもの。
晴れ渡った青い空、青い海、白い砂浜。
日に焼けた、温かい心の人々。美味しい料理。
辛い出来事に傷ついて自分を責めていた人が、沖縄に触れるにつれ
周囲のことも自分のことも許せるようになってくる。
そして、新しい恋にも出会ったりして、人生が幸せにまわり始める。

都合よすぎる気もするけど、いいのいいの!
これは現実の沖縄じゃなくって、旅人たちの「心の沖縄」なんだから。

ところで、「癒し」という言葉がこんなにも陳腐化したのは、ここ数年ですよね。
あまり使いたくなくって、私の記憶が確かならば(…すごい怪しいけど)
このブログでは使ってこなかったはず。
でもどうしてもこの本の感想を書くには「癒される」とか言わずには居れないのよね。(笑)
なので、「癒し」がこんなにも簡単に手に入るようになる前の、
とっつきにくくて神秘的だった時のニュアンスで読んでくれたら嬉しいです。

89/100
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by yurinippo | 2007-09-21 13:47 | book