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おうちしごと日報

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「ハヅキさんのこと」

短編よりももっと短い、掌編小説集。
小説にするとこぼれ落ちてしまうような、でも素敵な小さなおはなし。

ハヅキさんのこと
川上 弘美 / / 講談社
ISBN : 4062136287


ぜーんぶが100%フィクションだと思って読んでいたけれど、
エッセイの体裁をとった小説、ってことは全部ウソでもないのよね。

もちろん、フィクションだったらひとかけらの真実もない、という意味ではありません。
なんていうのかな、つまり、小説を書くつもりでも自分の体験は混ざりこんでしまうし、
エッセイだからといって、ちょっとくらい脚色しないとつまらなくなってしまう。
そのあたり、帯についていた言葉「虚と実のあわいを描く」というのは
まさにこの本を上手く言い表しているなぁと。

とにかく1編が短いので、ストーリーはほとんどありません。
でもさらさらと流れる小川をひとすくいしたその手のひらに、
水草や小さい虫や魚なんかが入っていたら、そこが小さな宇宙になるように、
日常をひとすくいしたら、めくるめく川上ワールドが出現した、みたいな感じ。
あー、自分で書いてて訳わかんなくなってきた!(笑)

夫と、妻と、妻の母の3人の視点から描く「誤解」が、おもしろかった。
表題作「ハヅキさんのこと」は、女教師2人の友情がなんとなく「夜の公園」を思わせる。

川上弘美ファンの友人が
「単行本が出ると我慢できずに買ってしまう。でも本棚は一つと決めているので。」と
先日持ってきてくれました。(←私と同じスタンスかも)
どうもありがとうねー。おもしろかったよ!

53/100
by yurinippo | 2007-06-11 18:31 | book