おうちしごと日報

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「南鳥島特別航路」

夏ですもの、気分だけでも旅に出たい。

南鳥島特別航路 (新潮文庫)

池澤 夏樹 / 新潮社


51/100

さて、ここで問題です。

南鳥島は、次のうちどれでしょう。

1.日本の最北端
2.日本の最南端
3.日本の最東端
4.日本の最西端







ご存知の方も多いでしょうが

3.日本の最東端

です。

『南』鳥島という名前に騙されて(ワタシ騙された)、
2.日本の最南端とか言いたくなりますが、
最南端は『沖ノ鳥島』でございます。
似たような島の名前ですけど、地図で見ると
南鳥島→沖ノ鳥島間の距離は
北海道から九州までと同じくらい離れてるんですね!

沖ノ鳥島は波に削られてなくならないように、
コンクリートで護岸工事がなされてるんですよ。
なんて微妙な国土なんでしょう。

ちなみに行政区は東京都ですよ。


話はそれましたが、(この本では沖ノ鳥島は出てきません。)
南鳥島、簡単に行ける所じゃないんですね。
絶海の孤島、というばかりではなく、
(今は知りませんが、この本が書かれたときは)
交通手段は自衛隊の飛行機週1便、ときおり貨物船という具合。
自衛隊の飛行機は乗せてくれたりしないので
池澤さんはこの貨物船で南鳥島に向かいます。
片道80時間。24で割ると3あまり18。ほぼ4日間船に乗りっぱなし!
私だったら船酔いで死ぬ…(笑)

とまあ、こんな具合に、日本各地(+サハリン)、
あんまり人のいかないようなところにばかり出かけていく池澤さんでした。
古都とか祭りとかの観光旅行は避け、
もっぱら地学的に興味深いところに行ってるのですね。

五島には火山と地層を見に行って、
サハリンでは、その植物や地形や人々の暮らしに北海道との連続性を見出し、
豪雪地帯では雪との、富山県では山崩れとの戦いをみる。

そして最後の八重山諸島のマングローブではこんな風におっしゃってます。

(引用)
十二回にわたったこの一連の旅を通じてぼくはさまざまな境界線を見てきた。…(中略)関心は常にわれわれが勝手に自分たちの領域と決めた人工的な区画の外にあった。そして、生物学の分野でも、地学でも、自然が最も面白い相貌を見せてくれるのはいつでも二つの世界が接するあたり、つまり境界に沿った一体なのだ。
(引用ここまで)

確かに!
湿原は陸と水との境目だし、乗鞍の宇宙線観測所は地球と宇宙の、
対馬は日本と大陸の、白神と秋田は山と里との、それぞれ境目ですよねー。
なるほどねー。

そういう目で見てみれば、
いま読み進めている池澤編世界文学全集も、
そういう「境界」に生まれる文学を特に選んでいるようなのですね。
なるほどねー。

私が計画する旅とは全く違う方向性ですが楽しかったです。
今年の夏は多分どこへも行かれないので…空想旅行ということで(涙)
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by yurinippo | 2010-08-12 10:26 | book