おうちしごと日報

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「鉄の時代」

あ、こちらは少し重たい本ですね。

鉄の時代 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-11)

J.M. クッツェー / 河出書房新社


37/100

狙ったわけではないのですが、
ワールドカップ南アフリカ大会が開幕したタイミングで予約してたのが届きました。

ノーベル賞作家クッツェーは南アフリカの出身。
本作「鉄の時代」はアパルトヘイト政策の崩壊直前、
癌におかされた老婆を主人公にした作品です。

主人公の病状も、主人公を取り巻く社会情勢も
何とも不穏な雰囲気なのですが、
それでも、なのかそれゆえに、なのか、
自分の手の届く範囲の人との絆を積極的に築いていく老婆。

差別と暴力のむごさも相当に堪えます。
たとえば、作品中に肌の色についての記述はほとんどないのですが
誰が白人で誰が黒人なのかは一目瞭然です。
アパルトヘイトはそれほどまでに徹底している。いた。
主人公の目の前で、まだ10代の知り合いの少年が殺されたり。

それでも、
主人公の何代も前のご先祖たちが犯した罪ゆえに引き起こされる不幸を
全て自分のものとして引き受ける覚悟には
とても強い感銘を受けます。

なので読後感はさほど悪くないです。

サッカー見ながら南アフリカに少しでも興味が湧いた方は
読んでみてはいかがでしょうか。

意外にも、差別は遠い国にだけあるものではないことに気づくかもしれません。
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by yurinippo | 2010-06-14 18:08 | book