おうちしごと日報

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「アルトゥーロの島/モンテ・フェルモの丘の家」

アルトゥーロの島/モンテ・フェルモの丘の家 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-12)

エルサ モランテ / 河出書房新社


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「アルトゥーロの島」!これ好きだ!(笑)
ナポリ湾に浮かぶ小島に古い邸宅。
野生児のように暮らす、母のない14歳の美しい少年。
いつも不在の父が、16歳の継母を連れて島に戻ってくる。

…て設定だけで涙でそうなんですけど(笑)

この父、父親としても夫としても最低の部類なのですが、
継母が来る前の少年時代のアルトゥーロの空想のなかでは英雄なのです。
自分だけの完全な世界だった子供時代の美しさは
もう二度と取り戻せない楽園だからこそ美しいのでしょうね。

そういう楽園から、継母という他者に出会って、
大人になり始めるときの激しい痛み。
言ってしまえば「中二病」なのでしょうが、、
でもこんな美しい中二病はどこにも無いな。

一方「モンテ・フェルモの丘の家」もなかなかに切ないです。
だんだんと若くなくなってきて、
人生が思い通りにいかなくなる。
「アルトゥーロの島」が成長に伴う鋭い痛みだとすれば
「モンテ・フェルモの丘の家」は老いるときの鈍痛かな。
14歳の病があれば、40歳の病だってあると思う。
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by yurinippo | 2010-06-10 18:53 | book