おうちしごと日報

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「告白」

湊かなえの「告白」を
文庫本で買ったのだけれども積読で、
図書館から借りたこっちの「告白」を先に読みます。

告白

町田 康 / 中央公論新社


24/100

私が町田康を読んでどんなに気に入ったとしても
「でもこれはブログでおススメするのはやめておこう。
なぜなら町田康が合う人と合わない人がいるだろうから。
そして、合わない人が読んだ場合
『yurinippoこんなのが好きなの?!変人?!』
などといわれるのが怖いから。」
とか考えて、ちょっとためらっていたのですが、
勇気を振り絞ってこれはおススメしたい!
(この本の影響で文章が妙な具合になってしまった)

かなりな長編で、しかも進み具合がダラダラなのですが
文体の面白さと河内弁のリズムでそこはどうにか乗り切ってもらうとしましょう。

河内音頭のスタンダード「河内十人斬り」をもとにしたとのことですが
私、関東の人間なもので知りません。
また、河内弁もイントネーションその他正しく読めているかどうかも
心もとないです。

しかしこの熊太郎(主人公)の
考えていることを上手にいうことができない、
思弁的なのだがそれを言葉で表現できなくてもどかしく、
頭はいいのに、周囲からはどんくさい人間だと思われて付け込まれ、
貧乏くじを引かされること、なんかは
なんだかとてもよくわかるような気がするのです。

結果、熊太郎は大勢の人を殺すに至るのですが
このような熊太郎の心の動きが、
昨今の突飛とも思える凶悪事件の犯人の心の中にも起こっているのかもしれない
(いま私は秋葉原の事件とかを思い浮かべた)
と想像してみると何だか恐ろしいのです。

いや、事件はもともと恐ろしいのですよ。
そして凶悪犯の心の中を想像することも恐ろしいのですが、
何より恐ろしいのは、
それを「心の闇」と一言で表現してしまうことです。

一冊使ってようやく書きあげた心の中を
たった一言「心の闇」と言い放つ。
まあ、ニュースとかは時間がないので仕方ないのかもしれないけど
一言でわかった気になるのは怖いなぁと。

そういえば、一言主という神様の祭られた神社の不気味さを
書いている部分もありました。

---(引用)---
 そもそも一言主という神様からして不気味な神様で、顔が醜くて、悪事も一言、善事も一言で言い放つ、言離(ことさか)の神である。…(中略)…言離というのはなんのことか分からぬが言葉で物事を離つ、世の中のすべてのことをばらばらで単純な言葉にしてしまうようなイメージがある。突然現れてすべての問題を一言で解決してしまう。
 これは救いに似てけっして救いではない。
---(引用ここまで)---

怖いよ、一言主。


力説してたら長くなって訳わからなくなってきたのでこの辺で。
この本、読んでみてください。
町田康が初めての方は、まず短編から試すのもいいと思います。
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by yurinippo | 2010-04-27 23:44 | book