おうちしごと日報

yurinippo.exblog.jp

「暗夜/戦争の悲しみ」

久しぶりの池澤夏樹編世界文学全集です。
今まで読んだこの全集のどれも、
読み始めると面白くてやめられないのに
読み終わるとぐったりするタイプの小説なので
楽しみ半分、怖さ半分といったところ(笑)

暗夜/戦争の悲しみ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-6)

バオ・ニン / 河出書房新社


22/100

「暗夜」のほうは短編集で、
中国の作家、残雪によるもの。(美しいペンネーム!)

どの短編も、不思議でちょっと怖くて謎だらけ。
夢だと分かっているのになかなか目覚められない悪夢のような感じ。
(こゆ感じ大好き♪)
私の知ってる中では、川上弘美の「龍宮」とか、小川洋子の「まぶた」とか、
そんなような、、、と思ったら解説ではカフカですと。
そうですね!カフカかもしれないですね!!

ただね、そうやって何も知らずに読むだけならば
不思議な美しさのある面白い短編なのですが、
残雪さんが青春時代を文化大革命の激動の中で過ごしたことを知ると、
この小説中のあらゆるものが何かの寓意なのではないかと
深読みしすぎて頭がグルグルになります。
グルグルしすぎて結局よくわからないのです。
そもそも私、文化大革命のこともあんまりよくわかってないし。


と同様のことが続く「戦争の悲しみ」に対しても言える訳なのですが。

バオ・ニンさんはベトナム戦争で実際に戦った兵士なのです。
私はベトナム戦争についても通り一遍のことしか知りません。

ベトナム戦争を描いた小説も映画もTVも数多あり、
私もいくつかは目にしたこともありますが、
いずれもアメリカ発のものばかりでした。
ベトナム側からの視線に触れたのはこれが初めてかもしれません。

もちろん戦争は残虐なものです。
自国が焦土となる戦争を経験したらその悲しみはいかほどでしょう。
私たちも子どものころから「はだしのゲン」とか「火垂るの墓」とか
見聞きしているわけですからかなり深い意識のレベルで
「戦争の悲しみ」という言葉が想起するイメージを共有出来ていると思います。

しかし、この本がそれだけではないのは
「戦争」を描いてはいるけれども、
本当に見つめているのは「人間」だということ。
戦争が傷つけるのは国土や命や心だけでなく
生き延びたひとの「たましい」までもだということ。

どうかキエンとフォンと、戦争で傷ついたあらゆる人のたましいが
救われていますように。と思わずにはいられません。
[PR]
by yurinippo | 2010-04-26 17:56 | book