おうちしごと日報

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「楽園への道」

アマゾンの商品ページで12件のカスタマーレビューが全部☆5つというのは初めて見た!

バルガス=リョサはラテンアメリカどころか地球を代表する大作家ですけれど、
実は私、読むのはこれが初めてです。

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社


62/100

池澤夏樹=個人編集 世界文学全集の2冊目。
私、池澤夏樹さんは学生の時からいろいろ読んだと思うんですが
南の島志向とかアンチ西洋文明なところとか
当時はなんだかよく分かってなかったけど大好きだったんですよね。

あの池澤夏樹さんの選んだ世界文学だったら間違いないだろうと。

ええ、まったく間違いなかったですね!


「スカートをはいた扇動者」(って言葉がまたカッコいい!)フローラ・トリスタンと
その孫、画家のポール・ゴーギャンを1章ごとに交互に描いた作品。

フローラ・トリスタンは、自らの不幸な結婚生活や、
フランスの労働者のひどい扱い、南米の奴隷や圧倒的な貧富の差を目の当たりにして
すべての被搾取者(女性、労働者)の団結によるユートピアを構想(夢想)します。
考えるだけじゃなくて、実際に本を書き、集会を開き、
体調を崩しても現実に失望しても行動し続けるフローラ。
と書くとちょっと悲劇っぽいですけど、
美人で激情家でちょっぴり真面目なフローラはとても魅力的です。

我々はそこそこ平和で豊かな社会に生きているくせに
この世に楽園などない、とあきらめていますけど
彼女の生きる18世紀は現実が過酷なだけに、
楽園を求めるその切実さがまるで違うのです。

一方孫のゴーギャンも違う形で楽園を探します。
豊かなブルジョアの生活を捨ててまで追い求める芸術の「楽園」とは。
ブルターニュでも、カリブ海でも、タヒチでも、手に入れたと思っては失望する
西洋文明に侵されていない原始の芸術。
マルキーズ諸島で最期を迎えるにあたってもなお
「日本になら在ったかも」なんて思ってるんだから筋金入りです。

今年に入ってから「月と六ペンス」を読んでその偏屈っぷりに度肝を抜かれ(笑)
この作品で、実は変人なのは芸術に対する純粋さゆえなのだと思い直し
ゴーギャンに興味がむくむくとわいてきました。
国立近代美術館のゴーギャン展ももう少しだし、急いで見に行かなくては~!
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by yurinippo | 2009-09-05 10:42 | book