おうちしごと日報

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「ミノタウロス」

決して楽しいお話ではなく、以前に一回借りて読み切れずに返してしまった本ですが
この文体の魅力に取りつかれてもう一度借りてきてしまいました。

ミノタウロス
佐藤 亜紀 / / 講談社
ISBN : 4062140586

舞台はウクライナ。
革命期の混乱の中、冷酷で残虐な主人公の生き様を描く…
とまあ、私の苦手分野(歴史、ロシア、残酷描写)目白押しの作品ではありました。

強奪、惨殺、焼き打ちを常とする主人公も時々は繊細な一面をのぞかたり、
友情のようなものも感じさせたり、でも最後まで救われない。

若者は往々にして無軌道なものですが、
しかし彼に関してはその無軌道な転落ぶりが
そもそも無秩序な社会に順応しているとも思えてきます。
こんな中で他にどうやって生きろと。

彼が土地に根付いた農民として生きることを夢見る一瞬の場面は切ないです。

昨今の、若者の起こす凶悪事件を思い起こさずにはいられません。
(そういう読み方は正しくないかもしれませんが)

こんなに嫌な話なのに、
読後感は爽やか(ではないか…)な青春小説にほんの少し似ています。
なんでだろう。

好き嫌いがあると思うので皆さんにお勧めできるタイプの小説ではないですが、
私の中ではまれに見る傑作でした。

45/100
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by yurinippo | 2008-06-19 11:40 | book