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おうちしごと日報

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「アフリカの日々/やし酒飲み」

今度はアフリカ特集です。

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)

イサク・ディネセン / 河出書房新社



91/100 (←年間100冊が何だか心もとなくなってきたよ…間に合うかな)

「アフリカの日々」って、
ロバート・レッドフォードとメリル・ストリープの主演で映画化された
「愛と哀しみの果て」の原作だったのですね!知らなかった。
見てないのですが、確かアカデミー賞ですよね~。今度、見ておこう。

「愛と哀しみの果て」なんていうとメロドラマっぽい印象を受けますが
原作の方は「愛」だの「哀しみ」だのそんなに出てきません。
むしろ恋愛要素は注意深く排除しているようです。

アフリカの高原で農場を経営する女主人公と
現地住民(キクユ族、ソマリ族、マサイ族)やヨーロッパ人の友人との出来事を
淡々と描いていきます。

この本で魅力的なのは、偏見のない鋭い観察眼、自然や人間への温かい眼差しです。
ヨーロッパ人にはなじみ薄い現地住民のふるまいや考え方の中にも気高い魂を見出し、
尊敬する友人たちの心にある寂しさに深く同情する。

本編には書かれておらず、解説を読んで初めて知ったのですが
結婚生活にも農場経営にも失敗し、友人を何人も失って
かなり辛い人生でもあったようなのに
この「アフリカの日々」には美しいことばかり書かれているのがすごいです。


で、このアフリカ特集で「アフリカの日々」のカップリングは
「やし酒飲み」…
これ実は、この全集読み始めて初めてあたった既読本なのです。
確か高校生の時だったかなー、
チュツオーラの「ブッシュ・オブ・ゴースト」を読んでいたら
塾の先生が「やし酒飲み」を貸してくれたのです。

子供だったのもあって、こういうお化け話大好きで、
酔っぱらったような語り口で森に住むヘンテコな妖怪ぞろぞろ出てくるのが
とてつもなく面白かった覚えがあるのですが
大人になって読むと、チュツオーラの文学的な立ち位置とか余計な情報まで
得てしまっているのが災いして、
子供のころのように無邪気に楽しめなくなってしまっているのが残念でなりません。

「世界文学」を読むからにはその文学の書かれた背景も
絶対に知っておくべきだとは思うけど、
実際「アフリカの日々」は第1次世界大戦やアフリカの植民地事情のことを
知らずに読むわけにはいかないと思うけど、
でも「やし酒飲み」に関しては、何も知らないで読んだ方が絶対面白かったっす。


あ、アフリカつながりで思い出した!
今週末こそ写美行かないと!サルガド展が終わっちゃう~~!!
by yurinippo | 2009-12-10 16:46 | book